シンデレラは騙されない
これは私の本当の想い…
それ以上は何も望まないし、望んじゃいけない。
時代錯誤って凛様は笑うかもしれないけど、私は会長や綾さんを裏切って悲しませる勇気は持ち合わせてないみたい。
それだけ、凛様のご家族は私や私の家族までも大切に考えてくれている。
あの人達の笑顔に嘘やごまかしはない。
だから、凛様の家族を陥れたくないの…
凛様とこんな風にちょっとだけお付き合いができただけで、私は満足。
私達の年のころなら、こういった付き合いがあってもおかしくない。
結婚までいくはずのない付き合いは、この地球上に星の数ほどあるんだから。
凛様は私の話を黙って聞いてくれた。
でも、逆にそのだんまりが何だか怖かった。
その沈黙は凛様の苦悩に満ちた笑顔でピリオドとなる。
「俺は、全てを捨てる覚悟はあるよ。
というか、今までもそのつもりで生きてきた。
でも、それを良しとしない俺の愛する人がいる。
考えるよ…
だから、もう少し、俺を信じて待っててほしい」
私は頷かずに無理に笑って見せた。
そんな簡単じゃない事くらい分かっている。
凛様はそんな私を抱き寄せた。