シンデレラは騙されない
「実際、多分、俺の方が、はるかに綾より仕事ができると思うんだ。
そんな事、誰にも言わないけどね」
「言ってるよ」
私が両肘をついて凛様の顔を覗きこみながらそう言うと、凛様の顔に少年っぽい笑みがこぼれる。
「麻里にはいつでも正直でいたいと思うんだ。
だから、これからの俺をちゃんと見てほしい。
まだ、しばらくは綾の元で修行をしなきゃならないから、こんな風に会える事はできないけど、俺だけを信じて待っててほしい。
俺の言葉だけを聞いて、俺の言葉だけを思い出して」
凛様とこういう形で結ばれた今だからこそ、私の想いを隠す事はできないと思った。
私の想いもちゃんと伝えなきゃ、凛様を傷つけても…
「凛様、私は…
私も… 凛様が好き…
昨日はその気持ちを解放してあげたんです…
好きな気持ちには嘘はつけない。
嘘はつけないけど、我慢はできます。
私は…
凛様と結婚するとか、幸せになるとか、そんな事何も望んでない。
凛様にこんな風に好きって言ってもらえて、それだけで私は幸せです…
凛様、ありがとう…」