シンデレラは騙されない
「友達になりましょうっていう儀式だよ」
星矢君ははてな顔をしたまま、とりあえず頷いた。
「麻里先生、悠馬さんってすごくいい人だよ。
お母様の友達の中で、一番面白くて、声が大きいんだ」
私は星矢君の方を見て、ふ~んと相槌を打つ。
頭では冷静に装っているけれど、心の中は凍り付いていた。
「麻里さん、ゆっくり考えてね。
でも、まずはできれば会ってほしいの。
会わなきゃお互いの事も分からないし、友達になれるかも分からないでしょ?
今日か明日、綾から電話がくると思うから、その時に色々質問してみてね」
私はとりあえず頷いた。
清水さんがダイニングテーブルに夕食の準備をして、私以外の皆に声を掛けたから。
「あの…
私、突然の事で、今は何も考えられないですが、部屋でゆっくりとこのお写真を見させていただきます。
返事は…」
「返事は後でいいのよ。
というか、返事とかはなしで一回会ってみてほしいの」