シンデレラは騙されない


星矢君のお勉強をしっかりと見てあげて、その後はいつもの英語の言葉遊びをして楽しんだ。
星矢君の笑顔には本当に癒される。
凛様の子供のような笑顔と一緒だから。

星矢君の部屋でそんな風に他愛もない時間を過ごしていると、専務がノックをしながら星矢君の部屋へ入って来た。
耳にはスマホを当てて誰かと話している。

「麻里先生、ごめんね、忙しいのに…
綾から電話が入ってて、今、話せるかな?」

私の心臓がまたビクンと跳ねる。
でも、その申し出を断る理由もなく私は静かに頷いた。
私が専務のスマホを受け取ると、専務は星矢君を連れて部屋からいなくなる。

「……もしもし」

「麻里先生、ごめんね、突然の事で驚いちゃったでしょ?」

綾さんは何だか嬉しそうだった。
私にお友達の平塚さんの話を熱心にしてくれた。
あまり女性に興味を示さない平塚さんが、私にだけはそうじゃないらしい。
とにかく一度会ってほしいと懇願された。



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