シンデレラは騙されない


私は我慢できずに泣いてしまった。
本当に苦しくなるくらいに専務も綾さんもいい人過ぎて、私は心が傾いてしまう。
凛様から離れなきゃいけないって…

星矢君がおばあ様とのお風呂を終えて、部屋へ帰って来た。
私はすぐに涙を拭い星矢君を抱きしめて、おやすみと言ってその場を後にする。

廊下に出た途端、涙が次から次へとこぼれ落ちる。

凛様と同じ家に住んでいて、凛様を避けて生活できる?
そんな事拷問に近い。
でも、星矢君との約束を投げ捨てるわけにもいかない。

私はもう考える事を止めた。
あと、六カ月弱…
星矢君の事だけを考える。
凛様の事は、その後でいい。
星矢君のお受験に集中したいっていう理由なら、凛様も分かってくれるはずだから…




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