シンデレラは騙されない
平塚さんは年相応の大人の男性だった。
決して美形ではないけれど人の良さといつも笑って見える愛嬌のある顔が、すごく感じがいい。
「ごめんね、こんなに突然現れて」
「いいえ、大丈夫です」
私は時計をチラッと見た。
話せても10分程度だという事を伝えなければならない。
でも、平塚さんは、ちゃんとその事は把握していた。
「仕事の途中に来てくれたんだよね?
本当にごめん、でもすごく嬉しい、ありがとう」
平塚さんはそう言って、私にお洒落な紙袋を渡した。
「麻里ちゃんの話を綾から聞いて、何だか胸がいっぱいになった。
家族のために頑張る麻里ちゃんを見てみたいと思った。
僕もずっと同じ思いだったから。
今、僕が成功しているとするなら、僕自身の原動力は家族の幸せだった。
母や妹達のために頑張った結果だよ。
あ、ごめん…
でも、麻里ちゃんを見て、逆に驚いてる自分もいる。
こんなに綺麗で可愛い人がそんな思いやりの中で頑張ってるなんてすごく感動してるし、僕が今すぐに会いたいって思った理由が麻里ちゃんを見て分かった気がする」