シンデレラは騙されない
私は平塚さんの照れて話す姿に、すごく年上の男性なのに可愛いなんて思ってしまった。
「近々、食事しよう。
必ず連絡するから、その時は受けてほしい。
今日は来てくれてありがとう。
じゃ、また」
「え?」
平塚さんは一度だけ私に手を振ると、そのまま正面玄関の大きな自動扉の外へ消えて行った。
ポカンとあっけに取られている私は、手に持たされた紙袋を覗いてみる。
すると、その中には小さめだけど、でもビックリするほど豪華なバラの花束が入っていた。
「え?」
このバラの花束が、これから先の私の選択に一石を投じたのは間違いない。
でも、今の私は心が動く事はなかった。
凛様への想いで溢れている私の心に、平塚さんが入る余裕なんてない。
中華まんのお土産であんなに怒ってた凛様に、この花束が見つかったらたいへんな事になっちゃう…
そんな呑気な事を考える自分が可笑しかった。