シンデレラは騙されない
思考回路が正常に動いてないみたい。
きっと、考える事を拒否してる。
私はそんな事を呟きながら、仕事に戻った。
そして、仕事を終わらせると、山本さんと交代するために斉木家へ急いだ。
いつもより少しだけ早く帰り着いた私に、山本さんは興奮気味に話しかけてくる。
「凛様がさっき帰って来たんだけど、何だか日焼けしてワイルドになって久しぶりにときめいちゃった。
ここだけの話ね」
愛する旦那様のいる山本さんは、可愛らしく微笑んでそう教えてくれた。
私もその笑顔につられてとりあえず笑って見せる。
数分後の自分の状況が全く想像できない事に、完全に戸惑いながら。
私は恐る恐るリビングへ向かう。
凛様が日本を離れているほんの少しの間に、私を取り巻く環境がガラリと変わった。
その状況はいつか必ず凛様の耳に入る。
できる事なら、知らないままでいてほしいけど…
「ただいま戻りました」