シンデレラは騙されない
いつものように挨拶をして自分の部屋へ向かおうとした。
でも、そんな訳にはいなかい。
「麻里先生、凛太朗だよ!
凛太朗がやっと帰って来た」
星矢君の弾んだ声が聞こえてくる。
私は俯いていた顔を上げて星矢君を見た。
星矢君だけ見るつもりが、私の視線は日に焼けた懐かしい笑顔を探す。
そこには星矢君を抱き上げるいつもの凛様がいた。
「麻里先生、久しぶり。
元気だった?」
凛様の久しぶりの帰国とあって、そのリビングには会長も専務も揃っている。
「凛様、お帰りなさい。
お久しぶりです。
私はもちろん元気ですよ」
凛様からしたらわざとらしい演技かもしれないけど、今の私にはそれが精一杯。
凛様の眩しい笑顔に、好きな気持ちが涙となって溢れてくる。
でも、そんな姿を見せるわけにはいかず、私は無理やり笑顔を貼り付けた。
「じゃ、私はこれで…」