シンデレラは騙されない


すると、若い方のお手伝いさんがペコっとお辞儀をした。

「でも、彼女は、つい最近結婚をして、夕方の7時には勤務を終えるので、その後を麻里さんにお願いできればと思っています。
どのみちその時間帯は星矢はお勉強の時間なので、麻里さんのいい形で進めてくださいね」

星矢君のお母さんは、海外市場の拡大等を手掛けるかなりのやり手だという事は知っている。
社内雑誌やHAKASEのHPでコラムを連載していて、私は何度か読んだ事があった。
促進開発部の部長として、この会社の次世代のリーダーと周りも期待を寄せている。

私は尊敬と羨望の眼差しで、星矢君のお母さんを見た。
そして、大きな声で「はい」と返事をする。
こんな一流の家族に携われた事に感謝しながら。

「でも、麻里さん、私も綾の夫も居るわけだから、そんなに気負わなくていいのよ」

会長が優しくそう言ってくれる。

綾の夫?
あ、専務の事か…
部長の名前は綾さんっていうんですね…




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