シンデレラは騙されない
もし、星矢君が五歳の子供じゃなかったら、私は恋に落ちてしまっただろう。
育ちの良さから溢れ出る気品さと落ち着きは、本物の御曹司の風格を感じさせる。
そして、お母様よりおばあちゃま似の綺麗な顔だちは、少年になったらこぞって芸能事務所にスカウトされるのは間違いない。
五歳の子相手に私は手が震えた。
私はこの手の王子様風のイケメンに本当に弱い。
弱いというより、ガチガチの好みのタイプ。
星矢君が大人だったら、私はこの時点でメロメロのダメダメになっている。
「よ、よろしくお願いします」
私の言葉に星矢君はニコッと微笑んでくれた。
……なんて可愛いの~~~
すると、今度は星矢君のお母さんが私に手を差し出した。
「麻里さん、星矢をよろしくお願いします。
私は仕事の関係で、タイやインドネシアのアジア方面に拠点を置いてしばらく頑張るつもりです。
その間もちょくちょくは星矢に会いに帰ってくる予定ですけど、とにかく寂しい思いをさせたくなくて。
星矢の身の回りの世話と食事関係は、ナニー役の山本さんが面倒を見てくれます」