シンデレラは騙されない
凛様は乱れる息を整えながら、小さくため息をついた。
「俺はどっちでもいい…
う~ん、でも、どっちかと言うと、このままベッドに行きたい。
だって…
明日から麻里を抱くどころか、顔も見れなくなるんだから…」
凛様のその正直な言葉は、私の心に寂しさを連れて来た。
どういうわけか、寂しくて寂しくて涙がとめどなく溢れ出る。
凛様はそんな私をきつく抱きしめ、そして優しく抱き上げた。
「麻里が欲しい…
麻里の匂いや温もりをこの体と頭に記憶させないと、俺は一か月半以上も持たないよ…
それは麻里も同じだろ…?」
私は泣きながら凛様の首元に顔をうずめ、頷いた。
意味不明な寂しさと不安な気持ちを早く追い払いたい。
凛様は私をベッドに横たえると、スウェットのポケットからスマホを取り出して、遠くにあるソファへ投げた。
「長居はしない…
でも、俺達の気の済むまで一緒にいたい。
朝日が昇る頃には絶対に帰るから…」