シンデレラは騙されない
俺は見た目は母さん似だとよく言われる。
でも、性格は父さん似だと、ここにいる全ての人がそう思っていた。
「凛太朗こそ、どうしたんだ?
今日、お前が居るなんて聞いてなかったぞ。
今日は、忙しいおじいちゃまが、星矢のお祝いに帰って来たんだもんな」
俺に抱かれている星矢の脇をくすぐりながら、父さんはそう言った。
「凛太朗、仕事は大丈夫なの?」
俺は綾のその一言にカチンと来る。
「そんな思うんだったら、綾がさっさと帰ってくればいいんだ。
俺は一体いつ帰してもらえるんだって、ずっと思ってたんだからさ。
でも、大丈夫だよ。
仕事はしばらく留守してもいいようにちゃんと済ませてきたから安心して」
綾はもう泣きそうになっている。
でも、俺は容赦はしない。
これから先の俺と麻里の未来は今日のこの日を境に前へ進み出すと、俺はそう信じているから。
「凛太朗、まずは食事をしましょう。
お父様はそんなに長居はできないみたいなの」