シンデレラは騙されない
いつの間にか清水さん達がテーブルに夕食のセッティングをしてくれていた。
急に帰ってきた俺の分の席もちゃんと含まれている。
とりあえず星矢を囲んで楽しく食事をした。
星矢の合格を麻里は知っているのだろうか…
俺はいつ何時だって、麻里の事を思い出す。
この家族の一員に麻里を迎えてもらう日まで、きっと、ずっと。
「凛太朗の仕事での武勇伝をよく聞かされるぞ。
お前にこの手の才能があるのは、父さんは生まれた時から分かってたけどな」
そう言って、父さんは豪快に笑った。
俺はその話をもっともっと広げたかった。
どれだけ俺が頑張っているか、後の三人に認知してもらうために。
「父さん、俺は今まで敷かれたレールを走る事が本当に嫌だった。
何でこんな家に生まれてきてしまったんだろうって、悔しくてしようがなかった」
「そんなの改めて言われなくても知ってるよ。
ね、みんな」
父さんを他の三人を見てノリが悪いと思ったのか、星矢に同意を求めてウィンクをした。