シンデレラは騙されない


私は、もしかしたら凛様に恋したのかもしれない。
でも、それを認める勇気はなかった。

「ありがとう…
じゃ、行くね」

凛様はそう言うと、私に手を振って部屋を出て行った。
でも、足元がおぼつかない凛様を放っておくわけにはいかない。

私は凛様の後ろを静かについて行く。
気付いているのかいないのかそれは分からないけれど、でも、凛様がちゃんと部屋に入るまで見届けないと心配で絶対に眠れないから。

いや、その前に、私は凛様の部屋がどこかも知らない。
そんな事をあれこれ考えていると、凛様は私の見慣れた部屋に入って行った。

そこは星矢君の部屋…
凛様は、星矢君の部屋に入ると、すぐに星矢君の小さなベッドにもぐり込む。
眠っているはずの星矢君の寝顔は、何だか嬉しそうに見えた。

そんな仲睦まじい姿を目の当たりにして、私は涙が溢れてくる。
甥っ子をこんなに可愛がる凛様の意外な一面は、私の心を一撃した。

ヤバいよ…
私、やっぱり凛様が好き……




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