私は強くない
蒼井は間に入った私に、驚いていた。

「な、なんでなんだよ!あの時電話した時、倉橋は大丈夫って言ってたじゃないかっ!」

あの時…それは拓真と別れたと言う話が、蒼井の耳に入った時の事を言ってるんだろう。
でも、あの時はすでに私は圭輔さんを好きになっていた。
だから、大丈夫だと…

「っ、それは、あの時はもう圭輔さんがいたから、支えてくれたから、圭輔さんへの気持ちにきづけたから、大丈夫だって言ったの…」

「なんなんだよ、俺が大阪に行ったからって、倉橋だって…」

「蒼井、そばにいたから、離れていたから、は関係ない。事実、倉橋はお前の事を同期以上の感情はなかったんだ」

圭輔さんから突きつけられる現実に、認めたくないように蒼井は、耳を押さえていた。

「ごめんなさい、蒼井。あなたに告白された時にちゃんと言うべきだった。男性としてみた事がなかった、って」

バンッ

机を叩いて、蒼井は会議室から飛び出して行った。

「…あ、蒼井っ…」

追いかけようとした私を、圭輔さんが腕を掴んだ。

「今は行かない方がいい…一人にしてやれ」

「で、でも…」

「その優しさが、勘違いさせてもか?」

「っ…」

どうすればよかったのか、人を傷つけてでも、圭輔さんとの付き合いをする事が正しかったのか、分からなくなっていた。

そんな私を圭輔さんは優しく抱きしめてくれた。

「待たしてるから、店に行こうか…」

私は黙って頷いた。

店に着くと、みんな楽しそうに飲んでいた。そして、おめでとう、と笑顔で祝ってくれた。
暗い顔をしたらダメだと、そう思いながら、私は笑顔を作った。

「慶都さん、大丈夫でしたか?顔色悪いですよ」

私の異変に気付いたのは、橋本君だった。

「大丈夫よ、ちょっとね、あっただけだから。心配はいらないわ」

「蒼井係長荒れてましたか?」

話す事が出来ず、ただ黙ったまま、うんと頷いた。

「仕方ないですよ、お互いの気持ちがなければ、成立しませんよ。男女の付き合いなんて、気にしないで下さいよ」

仕方ない、で済むんだろうか…
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