私は強くない
結婚が決まったからお祝い、と会社の人達と飲みに行き、遅くに家に帰った私は、圭輔さんに話をした。

「ね、圭輔さん。私、結婚止めようと思うの…」

「え?な、何言ってるんだ?慶都」

「だって、こんな状態で私結婚なんて出来ない。仕事だって出来る自信がないっ」

突然の告白に驚く圭輔さんは、私の肩を強く揺さぶった。

「蒼井を傷つけてまでは、私には…出来ない…」

「慶都、俺との結婚止めて蒼井と付き合うのか?」

「な、なんでそうなるの、そんな訳ないじゃない」

「同じ事だろ?俺を傷つけていいって思ってるのか?それともやっぱり、蒼井の事好きだったんじゃないのか!」

「ち、違う…そうじゃない、そうじゃないの、ただ…」

「慶都…俺には君だけだって…」

「…っいやっ…」

そう言いながら、私を抱こうとした圭輔さんを突き飛ばしてしまった。

「あ、ご、ごめんなさ…」

「……っ、これが答えか、分かったよ」

そう言った圭輔さんは家を出て行ってしまった。

激しく閉められたドアの音が、耳に残っていた。


圭輔さんの携帯に、何度電話しても出ることはなかった。
返ってくるのは
「おかけになった電話は電源が…」
の自動音声だけ。

ごめんなさい、何度言ってもその言葉を圭輔さんが聞く事はなかった。

< 125 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop