私は強くない
「…ん…っ」

朝、私はゆっくりと目を開けた。
昨日、名取課長と…
私の体はしっかりと名取課長に、抱きしめられた状態だった。

目の前には、名取課長の顔が…

恥ずかしい。
昨日あんな事があった後だし、顔をまともに見れないよ。
名取課長の腕の中で、ゴソゴソしている時だった…

「何、顔伏せてんの?もっと見せてよ」

いつの間にか起きていた、名取課長の声がした。

「あ、あのっ…」

「恥ずかしくがるなんて、今さらじゃないか?慶都?」

「…っ、も、もういいです。名取課長、恥ずかしいです」

「圭輔」

「え?」

「圭輔。いい加減、名取課長はやめてほしいかな」

「あ、あの…」

「ほら、圭輔」

「…け、っ、圭…輔さん」

「ん、よくできました」

そう言いながら、私の顎を持ち唇を重ねる。
最初は優しく、そして激しく…

「…ん、あっ…名取課長…」

「…っ、圭輔」

「っ、圭輔さん、も、もう、朝…」

「まだ時間はあるよ…っ」

圭輔さんは、昨日と同じように、私を翻弄する。

朝の光が眩しい、明るい所で見る圭輔さんが眩しい。

「…でもっ…時間」

「まぁだ、大丈夫っ…」

敏感な所を刺激されて、圭輔さんにしがみつく。

離さないで、と言いながら…


そして、私達は時間を忘れ、慌てて会社に行く羽目になった。

「…もう、だから言ったじゃないですか!」

「仕方ないだろ?慶都が煽るからだろ?」

「…あ、あ、煽るって…」

「煽ったよ、俺を。今日は仕事休んで、一日中抱いていたいぐらいだよ」

「…もう!」

顔から火が出そう、ってのはこの事だろう。


結局、時間ギリギリだった。


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