私は強くない

新しい週の始まり、今日は月曜日。
私はあのまま圭輔さんの家にいた。
圭輔さんは、このままいたら？って真面目な顔して言われたんだけど、それをどうとっていいのか、分からず、言葉を濁してしまった。

一緒にいたい、けど、慎重に進めたい。葛藤していた。

あの日、圭輔さんは都築課長に呼ばれ会社に行った。拓真の処分の件で。帰ってきた時、話をしようとする圭輔さん止めた。
ここでするべき話じゃないと、会社の事だから、会社で聞くと。

そして、今日。
何かしらの動きがあるはず…そうおもいながら、会社に向かった。

「おはようございます〜」

「あ、美波、おはよう」

「この間はお疲れ様でした。久々に見ましたよ、慶都さんのマジ切れ。橋本なんて、敵に回したくないって言ってましたよ」

「あー！もうそれ言わないで」

あの時の事を考えると、頭が痛い。
圭輔さんは、何も言わなかったけど、絶対何か思ってるはず。拓真の事、あんた呼ばわりしてたし。

「倉橋係長！」

「え？あ、橋本君、おはよう。どうしたの？」

今まさに話していた、橋本君が血相を変えて走ってきた。

「お、おはようございます。た、大変ですっ…」

「そんなに慌てて、どうしたの？大変って？」

「…っ、あ…慌てますよ！異動です。辞令が出たんですっ！」

「辞令？」

辞令と聞いて、すぐには理解が出来なかった。

「拓真に辞令が出たんですよ！」

「え？もう？」

早い…、私の異動もまだなのに、拓真の方が先にだなんて…

「聞いてます？倉橋係長！」

「あ、ごめん。…で？」

「とりあえず、人事部に急いで下さい！」

橋本君に言われるままに、私と美波は制服に着替えて人事部に走った。

辞令を見て声が出なかった。
それは美波も同じ。
まさか…

営業部 奥菜拓真 営業から内勤業務を命ずる。


課の異動ではなく、営業部内での人事だった。