独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
……大輝くん?
姉が最後に口にした名前がひっかかる。大輝くんって、まさか!
顔から一気に血の気がひいていく。
「まさか、大輝くんって、設楽大輝っていうんじゃ……」
恐る恐る尋ねる私に彼女は満面の笑顔で頷く。
「そのまさかよ。橙花ちゃんの代理婚約者の弟」
その姉の声が最後通牒のように聞こえた。
嘘でしょ⁉ 世間は狭いっていうけど、こんな偶然ありえない!
表情をなくした私に、姉はフォローするかのように言う。
「大丈夫よ。大輝くんは代理婚約って気づいてないから」
「でもお姉ちゃんが血相変えて帰ってきた時点で怪しんでるよね。しかもこの家、防音も何もないから声が筒抜けだったんじゃ……」
冷静に言う私に、姉は瞬時に目を泳がせる。
「とにかく、大輝くんにも話を聞いて口留めしたら大丈夫よ! 私の言うことなら聞いてくれるから! ほら、橙花ちゃんはそんなことより身支度を整えて。お化粧は私が教えてあげるし、服も選ぶから」
どこまでもポジティブ思考の姉がそう言って私を追い立てる。
一難去ってまた一難。副社長のトップシークレットだぞ、と脅すように迫られた言葉がよみがえる。
……頭が痛い。
どんよりした気持ちを抱えてベッドから降りる私をよそに、姉は嬉々として、私が副社長に買ってもらった服を物色している。
「早く顔を洗ってきて!」
おっとりした姉にしては珍しくテキパキと準備を進める。のろのろと私は姉に言われるがまま顔を洗いに向かった。
もちろん大輝さんには見つからないように細心の注意を払いながら。いくらなんでもこの寝起きの姿は見られたくはない。
姉が最後に口にした名前がひっかかる。大輝くんって、まさか!
顔から一気に血の気がひいていく。
「まさか、大輝くんって、設楽大輝っていうんじゃ……」
恐る恐る尋ねる私に彼女は満面の笑顔で頷く。
「そのまさかよ。橙花ちゃんの代理婚約者の弟」
その姉の声が最後通牒のように聞こえた。
嘘でしょ⁉ 世間は狭いっていうけど、こんな偶然ありえない!
表情をなくした私に、姉はフォローするかのように言う。
「大丈夫よ。大輝くんは代理婚約って気づいてないから」
「でもお姉ちゃんが血相変えて帰ってきた時点で怪しんでるよね。しかもこの家、防音も何もないから声が筒抜けだったんじゃ……」
冷静に言う私に、姉は瞬時に目を泳がせる。
「とにかく、大輝くんにも話を聞いて口留めしたら大丈夫よ! 私の言うことなら聞いてくれるから! ほら、橙花ちゃんはそんなことより身支度を整えて。お化粧は私が教えてあげるし、服も選ぶから」
どこまでもポジティブ思考の姉がそう言って私を追い立てる。
一難去ってまた一難。副社長のトップシークレットだぞ、と脅すように迫られた言葉がよみがえる。
……頭が痛い。
どんよりした気持ちを抱えてベッドから降りる私をよそに、姉は嬉々として、私が副社長に買ってもらった服を物色している。
「早く顔を洗ってきて!」
おっとりした姉にしては珍しくテキパキと準備を進める。のろのろと私は姉に言われるがまま顔を洗いに向かった。
もちろん大輝さんには見つからないように細心の注意を払いながら。いくらなんでもこの寝起きの姿は見られたくはない。