独占欲強めな御曹司は、ウブな婚約者を新妻に所望する
「突然お邪魔してすみません、橙花さん」

昨日と変わらない麗しい笑顔で言う大輝さん。
カーキ色の長袖のシャツにデニムというラフな装いは、昨日のかっちりしたスーツ姿とはまた違った彼の魅力を醸し出している。

我が家のリビングルームにある真っ白なソファに座り、優雅に紅茶を飲んでいる。普段の見慣れた我が家なのにその空間だけがとても眩い。

「……いえ、お待たせしてしまい申し訳ありません」
どうして私が謝っているのだろうと考えながらも、型通りの謝罪を述べる私。

ネイビーのロング丈の部分プリーツスカートに金ボタンの着丈が少し短めのカーディガン。姉が選んでくれたコーディネートだ。もちろん淡いオレンジのチークのメイクも無造作にまとめ上げた髪型もすべて姉がしてくれた。

慣れない格好に落ち着かず、何度もカーディガンの裾を引っ張ってしまう。まったく副社長はどうしてこんな普段着まで用意してくれたんだろう。そもそも私は彼が普段着の用意をしてくれていたことさえ、姉が物色するまで気づいていなかった。

でもこの服の着心地のよさと生地の良さからして普段使いができるような可愛い値段ではない気がする。その証拠に、ファッションに疎い私でさえ知っている高級ブランド名が記載されたタグが縫い付けられている。
姉は私の服を物色している間、ずっと悲鳴を上げっぱなしだった。
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