僅か30センチの恋

李人「いいよ。じゃあ勝負しよう。」

身を呈して俺の恋路に付き合ってくれる
多田さんの悩みくらいは聞きたい。
そう思って俺は一心不乱に
目の前のビールを飲み干した。

多田「ははは。負けちゃいました。
じゃあ、話しますね!」

負けてもどことなく嬉しそうな
多田さんの表情を見た時
それは確信に変わった。

多田さんの気持ちは分かる。
俺だってどうしようもなく
誰かにスズの事を話したくなる日が
あるのだから。

多田「この間は黙ってたんですけど
私の片思いの相手、宮内さんは
幼馴染なんです。」

李人「そうなんだ。」

多田「宮内さん...ここからは
翔吾って呼びますね。」

李人「うん。」
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