僅か30センチの恋

翌朝。昨日、涙を流したせいか
いつもよりも少し目が腫れていた。

冷水で何度も何度も顔を洗ったけど
すぐさま直る訳でもなく
少し腫らした目と共に出社した。

多田「おはようございます。木山さん。」

李人「おはよう。」

多田「幼馴染さんとは話せました?」

営業部の前で待っていた多田さんは
心配そうな表情でそう尋ねる。

李人「...ああ、...うん。」

俺のその返答を聞いて眉をしかめた。

李人「大丈夫だから。
ごめん、今日朝イチで
外回りだから。」

多田「はい。頑張って下さい。」

こんな事を思うのはものすごく
失礼だと思う。だけど、今は
多田さんと話したくなかった。
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