アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
何も言わない洸から目をそらし、飛香はシュンと俯いた。その刹那、ツインテールがクルンと揺れる。

「やっぱり似合わないですよね……」

「いや、いいんじゃないか?うさぎ。よく似合ってる似合ってる、可愛い可愛い」
早口でまくしたてながら、洸は飛香の肩をトントンと叩き、抱えるようにして邸の中へ入っていく。

「飛香、午前中は何をしていたの?」

「アラキさんに教えてもらいながら、伝票の入力をしていました」

「へえ、僕の部屋の掃除はしないの?」

「入ってもいいのですか? もしよろしければ明日は私がさせて頂きます」

「うんうん、そうして。奥の仕事部屋以外は、自由に出入りして構わないからね」

「はい!」

見上げる飛香を愛おしそうに見つめ下ろす洸は、そのまま彼女の唇にキスでも落としそうだ。

――誰かうそだと言ってくれ……。

目の前で繰り広げられる光景は、どう受け止めたらいいのだろう?
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