アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
飛香は料理が好きだ。
空調が管理されているお蔭で、暑い真夏だというのに火を使っても熱くはない。更に言うなら、IHクッキングヒーターなので火も無い。調理器具はなんでもあるし食材は選び放題だ。
平安の都ではこうはいかなかった。そもそも料理をすることはなかったし、貴族の姫が調理場に行くこともない。
そう思ううち、ふいに朱鳥となって平安の都にいる本当のアスカの姿が脳裏に浮かんだ。
想像の中で十二単を着ているアスカは、悲しげに俯き、ため息をつく。
――後悔しているだろう……。
自分はいい。不自由な世界から便利で自由な世界に来たのだから、楽しいことばかり。
――でもアスカは……。
トントントントン野菜を切る音がピタリと止まり、重たい気持ちがため息となって、唇からもれた。
自分でもわかっている。最近何かにつけそんなことを考えてしまうのは、ここにいたいと思う気持ちがどんどん強くなってきたからだ。
空調が管理されているお蔭で、暑い真夏だというのに火を使っても熱くはない。更に言うなら、IHクッキングヒーターなので火も無い。調理器具はなんでもあるし食材は選び放題だ。
平安の都ではこうはいかなかった。そもそも料理をすることはなかったし、貴族の姫が調理場に行くこともない。
そう思ううち、ふいに朱鳥となって平安の都にいる本当のアスカの姿が脳裏に浮かんだ。
想像の中で十二単を着ているアスカは、悲しげに俯き、ため息をつく。
――後悔しているだろう……。
自分はいい。不自由な世界から便利で自由な世界に来たのだから、楽しいことばかり。
――でもアスカは……。
トントントントン野菜を切る音がピタリと止まり、重たい気持ちがため息となって、唇からもれた。
自分でもわかっている。最近何かにつけそんなことを考えてしまうのは、ここにいたいと思う気持ちがどんどん強くなってきたからだ。