アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
その様子をぼんやりと見つめながら、洸は言った。
「僕はフラれたみたいだよ」

アラキは、クツクツと笑う。
「そうですか。それですっかり自信喪失というわけですね」

「なにがいけなかったのかなぁ」

「うーん。人生の先輩から言わせて頂きますと、そういった場合の答えは、十年後とかになって初めて、薄ぼんやりと見えてくるのかもしれませんね」

「そんなにかかるの? その頃にはどうでもよくなってる」

「どうでもよくなって、初めて見えてくるんですよ、きっと」

洸は、十年後を考えてみた。

ーー多分誰かと結婚をして家庭を築いているだろう。その時の妻は……。
妻はと考えて頭に浮かぶのは、飛香。

「はずせない仕事も沢山あるんだよ、僕には」

「はい」

「だから、そうそう飛香に会いにはいけないわけ」

「ええ」

「でも、ずっと一緒にいられたら違うのかなぁ? 楽しかった過去の想い出の一つにされないで済むと思う?」

「うーん。どうでしょう、そういう問題でもないと思いますが」

「じゃあ、どうしろっていうんだよ」

不貞腐れている洸をクスクス笑いながら、アラキは肩をすくめて首を傾げた。

「まぁとにかく食べてください。食べれば力も湧きますよ」

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