アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
光をなくした鏡を手に取った碧斗は、軽くため息をついてふたりを振り返った。

「飛香、向こうに行ったアスカのことは心配しなくていい。わたしが知る限りあの子は幸せに暮らしているそうだ。海未という女房がいただろう?」

「はい」

「全て事情を知った上で、海未が甲斐甲斐しく世話をしてくれているそうだよ。そしてアスカもまた、お前と同じようにもうひとりの飛香の身の上だけをいつも気にかけているそうだ」

「……そうですか」
震える声で俯く飛香をきつく抱きしめて洸が碧斗を睨む。

言葉には出さないが、その目で訴えた。
――だったら、どうしてもっと早くそのことを飛香に知らせてあげなかったんだ。

洸の怒りが通じたのか通じなかったのか、そしらぬ顔で立ち上がった碧斗は、トントンと軽く洸の肩を叩いて部屋を出た。
< 329 / 330 >

この作品をシェア

pagetop