アイラブ☆吾が君 ~恋する淑女は、十二単で夢を舞う~
クスっと鈴木が笑う。

「まぁ記憶喪失となると、色々心配なのでしょう。飛香さんの様子はどうですか?」

「母やサワとはいつも楽しそうにしているよ」

「それはよかった」

「どう? 君も一緒に夕食でも」

「いえ、今日はご遠慮しましょう。人が増えて緊張させてしまっては、碧斗に叱られるでしょうから」

今夜、鈴木に決まった予定があるわけではなかった。恋人も来ない。
西園寺邸に行っても何も不都合はないのだが、いま口にしたとおり飛香の気持ちを思んばかって遠慮したのだ。強く誘われれば違ったかもしれないが、洸も同じ気持ちだったのか珍しく無理強いはしなかった。

「飛香さんは日中、何をしているんですか?」

「サワに料理を教わったり、母と出かけたり、サワと本屋に行ったりしてるらしい。
 なんでも彼女は本が好きで、刺繍や手芸や美術関係の本や雑誌を買っているそうだ」
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