きみと1番目の恋

今更、郁人くんに助けを求める気なんて
ないけれど、1年前のあの日々を
思い返して思う事はただ1つ。

あの頃の私は確かに郁人くんに救われていた。

お気に入りのソイラテを飲もうとすると
中身が空っぽだった事に気付く。
そのくらい長い時間、私はここにいたんだ。

空になった容器を机に置き
3分ほど外の景色を眺める。

私と武彦の関係が何も変わらないのと
同じように、ここから眺める
景色も1年前とさほど変わらない。

確実に時は流れるけれど
確実に歳は取るけれど
変わらない事は沢山ある。

1年経ったからといって
世界はさほど変化しない。
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