隣は何をする人ぞ~カクテルと、恋の手ほどきを~
表情はいつも通り、優しい顔をしている。怒っているようにはみえないのに、心に違う顔を持っている気がした。

「くさい、ですか?……ご、ごめんなさい。すぐ流してくるから、時間ください」

自分ではいい香りだと思った。量も、ごくわずか。でも身の丈に合わないものだったことは確かだ。
不機嫌な態度をとられるのは初めてで、どうしていいかわからない。でも、彼の嫌がる自分のままでは、一秒だっていたくない。
 
私は立ち上がり、その場から駆けだした。
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