テレビの感想文

一人で帰ろうとする綾に、今日はそれが無理だとわかったキヨハル、急に態度を変える。「ちっ」と舌打ちしたあと、体目当てでここにきたことを隠さなくなる。

綾をあざ笑ったあと、
「えっ？　もしかしてその年で本気で恋したい！とか思ってるってこと？」

「正気？　いやぁ普通さぁ、女子は30過ぎたら、みぃーんな必死で婚活してるよ？」

「俺、アプリ歴長いけど、こんな女いないって」

その後も、ほかのお客さんに聞こえそうな大きな声で、「声大きい」と綾が嫌そうな表情をしていても、気にすることなく、こう言う。

「あーあ。いっそのこと婚活って書いてくれればスルーできたのに。ちっ、なんがしてぇんだよマジで」

おめぇ、さっきから黙って聞いてりゃ……と、この男性の言ったことにいら立ち始め、自分が面と向かって言われたような気分になってしまう。

そういう自分は、ヤリモクだと隠そうともしていないところが、「正気？」と、こっちも言い返したくなったんですけど。

日本酒を飲み干し、タン！　とテーブルにたたきつけるように小さなグラスを置いたキヨハル、

「30過ぎた女とヤるの、さすがにきつい」

と、とどめの一言。