テレビの感想文
『新宿野戦病院』は、現実の厳しさ、やるせなさを綺麗に描いたり、隠そうとしない。

それは一貫していて、
例えば、リリカという若い女性が、ホストのダイスケ・ダルメシアンにシャンパンタワーを入れるはずだったのに、
ヨウコがホストクラブに入ったせいで、その話はなかったことにされ、感情的になったリリカはビルの屋上へ。これから自殺する、と言いだし、なんとかホストがなだめようとするシーンがあった。(第2話)

ヨウコがタブレットで、飛び降りた人がどうなるか、痛々しい画像を見せたことによって、リリカは飛び降りるのをやめる。
が、散らばったお札をひろおうとして、ダイスケが屋上から転落。重傷を負ってしまった。

幸い、命は助かるんだけど、鏡を見ようとしたダイスケが、後輩のホストたちに止められていた。
このとき、病室にいた患者の男性がダイスケの顔を見て、一瞬、すごく驚いた顔をしている。最後までダイスケの顔は画面に映ることはなく、もしかしてうつぶせに転落して、顔も負傷していたのか、と視聴者にはっきりと伝えられることなくこのシーンは終わっている。

このホストのダイスケの客、リリカは、支払いのためにフーゾクで働き、自殺を考えるほど精神的に追いつめられた。
ダイスケがこうなったことを考えると、なんというか、天罰のような結果にも見える。いやいや、ホストなんて、女の子をハマらせて、時にはだまして、惚れさせるのも仕事のうちでしょ、とも思うけど、あの患者の反応を考えると、今後、ホストとして彼はやっていけるのか。

ダイスケもリリカも、その後の話に出てくることは一度もない。リリカだって、相変わらずフーゾクで働いているかもしれない。生きていても、生活に何か支障が出ているのなら、それは幸せと言えるのだろうか。
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