黒縁眼鏡と銀縁眼鏡
キンコン。

再び鳴ったチャイムにクッションを抱えてソファーで丸くなった。
佑真がいないあいだに誰か来ても、無視しとくようにいわれてる。
それに、いままでここに誰か訪ねてきたことはなかった。

キンコン、キンコン、キンコン。

無視してたら苛立つように何度もチャイムが押された。
「北嶋!いるんでしょ、北嶋!」

ドンドンドン、ドンドンドン、ドアが激しく叩かれる音と、女の人の怒鳴り声。

「ここにいることはわかってんだからね!
知重を返しなさいよ!」

ドンドンドン。

響き続ける音に耳を塞ぐ。

……佑真、早く帰ってきて。


「知重?大丈夫?」

佑真の声にぎゅっと強くつぶっていた目を開けると、心配そうに顔を覗き込まれていた。

「ゆうまー」

ほっとすると同時に涙が溢れてくる。
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