黒縁眼鏡と銀縁眼鏡
そう、はっきり聞き取れた途端に目が覚めた。

……逃げる?
あいつって……佑真のこと?
それにあの人は誰?
 
夢は私の心に黒くて小さな、疑念っていう染みを落とした。
それはじわじわと私の心の中に広がっていく。

……いままで佑真のことを全面的に信頼してたけど、本当によかったんだろうか?
ここに来て誰とも連絡とってないけれど、忘れてしまったとはいえ親や友達はきっといて、私のことを心配しているはず。

「佑真。
私の両親とか友達とか……は?」

「なに?僕よりそっちの方が大事?」

「大事、とかそういうんじゃなくて……」

急に不機嫌になった佑真に怖くなった。
いままで佑真はたしなめるように叱ることはあっても、こんなふうに怒ったことはなかったから。

「知重には僕だけがいればいい。
そうでしょ?」

「う、うん……」

冷たく光るレンズは、もしかして佑真の本性なんだろうか……。
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