黒縁眼鏡と銀縁眼鏡
用意してくれてたパジャマに身を包み、ベッドに入る。
枕元に座って私の髪を撫でる北嶋さんの手に眠りに落ちていきながら……あれが手元にないことに気が付いた。

「……眼鏡」

「え?」

「さっきの眼鏡、は?」

北嶋さんの、レンズの向こうの瞳が一気に険しくなる。
そういえば、最初に聞いたときも嫌そうな顔だった。

……だけど。

「眼鏡、どこ?」

「あの眼鏡は処分しよう」

「なんで?どうして?あれがいる!」

どうしてだかわからない。
ただ、あの眼鏡は私にとって大事なものだってことだけはわかる。

はぁーっ、大きなため息をついた北嶋さんが戻ってくると、手にはあの眼鏡。

「僕としてはこの眼鏡、処分したいんだけどね」

「どうして?」

「知重にとって、いい思い出がないからだよ」
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