エスポワール~私と御曹司~
この間も同じ事があった。
確かに今、私はそんな言葉
口には出していなかったはずだ。
タクシーに乗っていたあの時も
多分...自信はないけど
口には出してなかったはず。
だけど、どうしてこの人は...
望「どうしてこの人は
私の思ってる事が
分かるんだろう?って思ってる?」
希「え?...ええ、まあ。」
望「あんたら兄妹は
本当に分かりやすいよ。
思ってる事が顔に書いてある。
正直、扱いやすくて本当に楽。
でも、隠されるよりはずっといい。」
あれ?何かちょっとだけ
馬鹿にされてる?
でも、いいか。話さなくても
分かってくれる方が
こちらとしても有難い。
そんな人、お兄ちゃん以外
いなかったから。
望「例えばさ、店を出せば
行列が出来るほどめちゃくちゃ
腕の良い寿司職人がいたとしても
その人が魚介アレルギーだったら
寿司職人にはなれないだろ?」
希「そうですね。」