一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
すると、松井さんはガサゴソと大きな鞄を漁り、一冊の雑誌を取り出した。それは校了となった記事をまとめたサンプルである。先に手に取って表紙をめくった如月さんは、無言で該当のページを探し始めた。
と、彼の手がぴたり、と止まる。
覗き込むと、そこにはいつものスーツ姿ではない白シャツを着こなした樹さんの写真があった。
その見出しには、“クールな御曹司の素顔!プライベートに迫る”と大々的に印刷されてある。写真がいつもより柔らかい雰囲気なのは、そのコンセプトに基づいているからなのだろう。
すると、如月さんが、ふっ、と笑みをこぼした。
「このインタビュー、プライベートというより恋愛観についてだね。樹ってば、美香ちゃんのことばっかり話してるよ。」
「!」
如月さんが手渡してきた雑誌を、食い入るように見つめる。すると、そこに書かれていたのは、私の知らない彼の話だった。
ーーお二人の馴れ初めは、どういった感じで?
『初めて彼女と会ったのは、五年前です。僕がホテルの総支配人になったばかりの頃でしたから。』
五年前?
まさか。
五年前といえば、私はまだ学生。ランコントルホテルに就職すらしていない。
『その頃、僕は背負うものの大きさに押し潰されそうで、相当追い詰められていたんです。体力的にも、精神的にもね。…彼女に会ったのは、そう…。僕がどん底に陥っていた時でした。』