一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
様子がおかしい?樹さんの?
驚いて彼を見つめると、如月さんは眉を寄せて語り出す。
「桐生さんの話では、会議の書類を全部英語で書き出したりとか、一人で支配人室にこもって悲しげに空を見てるとか、ずっとため息をついてスマホの画面を眺めてるとか…」
(絶対アメリカ行きが原因でぶっ壊れたんだ……!)
というより、最後のは明らかに私からの連絡を待っている。クールな樹さんが、周りの人にバレバレなほど顔にでるタイプだったとは。
声をかけることもできずに不審そうな顔で樹さんを観察していた桐生さんも目に浮かぶ。
私は、おずおずと口を開いた。
「実は…、樹さんがアメリカに転勤することになって…」
「えっ!」
「今日のフライトなんですが…」
「ええっ!!!!」
驚愕する如月さん。樹さんからは何も聞いていなかったようだ。
「転勤、って、いつまでなの?」
「それが、はっきりとは分からなくて。…仕事が軌道にのるまでは、向こうのホテルのジェネラルマネージャーとして働くみたいです。」
自分で言っていて、改めて事の重さが身にしみる。もう、会えなくなるかもしれない。そう思うだけで心が軋む。
すると、小さく「そっか…」と呟いた如月さんは少し躊躇しながら口を開いた。
「じゃあ…、美香ちゃん達は別れることにしたの…?」
「…っ!」