一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ざわっ…!
その時、ふとあたりが騒がしいことに気がついた。スタッフばかりの事務所が、色めき立っている。
唯と顔を見合わせていると、ふいに聞き慣れた声が私を呼んだ。
「桜庭さん。よかった、退勤する前に見つかって。」
(え…)
ぱっ!と後ろを振り向くと、メガネにスタイリッシュなスーツの彼が私を見つめていた。
「きっ、桐生さん?!」
「お久しぶりです。お元気でしたか。」
突然の再会に、ぎゅん!と体温が上がった。騒がしかったのは彼の来室が原因だったのか。
懐かしい顔につい頰が緩むと、彼はすっ、と私に小さな便箋を差し出した。
どきり、として受け取ると、差し出し人には綺麗な筆記体でItsuki(いつき)と綴られている。
思わず、手紙を落としそうになった。震える手で封を開けると、中には、一行、文字が羅列された紙とルームキーが入っていた。
「…!!こ、これは…?」
興奮のあまり焦って尋ねると、彼は一年前と変わらない冷静な声で静かに答える。
「久我マネージャーに渡すよう頼まれたものです。そこに書いてある住所で待ち合わせたいと言っておりました。」
「っ!い、樹さんも帰ってきているんですか…?!!」
「えぇ。今朝の便で一緒に成田に降り立ちましたから。」