一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
「ここって……」
そこはまさに、彼氏に振られた私が酔い潰れて樹さんを誘ったあの夜、全ての始まりともいえる事件が起こった部屋だった。
シックな調度品、大きなダブルベット。薄暗い部屋に灯る心もとないランプ。
その全てが記憶の中の光景と一致する。
その時。磨かれたガラスのテーブルの上にあるものが置いてあることに気がついた。
それは、花束とベルベット生地の小さな青い箱。そう、まるで、リングケースのような……
「ーー見つかっちゃったか。」
「!」
「来るのが早いよ、美香。」
どきん…!!
低く艶のある声。
一瞬たりとも忘れたことはなかった。
「樹さ……っ」
ぞくり、と体が震えて振り返ろうとした瞬間。力強い腕が私を背中から抱き込んだ。
ぎゅうっ!!
懐かしい感触。甘い香り。
びくん!と反応した私に、彼はそっと耳元で囁いた。
「ただいま。」
「…っ!」
ぱっと離され後ろを見ると、愛おしそうにこちらを見つめる切れ長の瞳と目があった。
ずっと、ずっと会いたかった。
恋い焦がれていた彼が、目の前にいる。
話そうと思っていたことがたくさんあるのに、声が出ない。ただ、彼をまっすぐ見つめ返した。