一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
(…っ!)
彼の口から紡がれた言葉は、なによりも優しい響きだった。
ねだるようで、少し不安げな甘い声。
断る理由なんて、ない。
私は、返事の代わりにキスをした。
初めてクールな表情を崩した彼は、驚いたように目を丸くした。
そして、幸せそうな笑みを浮かべて私を抱きしめる。
…私たちの出会いは、偶然だった。
あの時、樹さんがカフェに来なければ。
私が、ランコントルホテルを選ばなければ。
今の私たちはなかった。
色々な偶然が奇跡のように重なって、私たちの人生は交差したのだ。
バーで酔いつぶれて樹さんに出会ったあの時も、数え切れないほどの記者たちの前でキスをされたのも、笑い話にならないほど真剣に悩んでいた初夜のことも。
今では大切な思い出だ。
「…樹さん」
「ん…?」
「今まで私は樹さんにたくさん幸せをもらいましたから…これからは、私が、樹さんを幸せにしますね。」
「ふふ。」
“それは、こっちのセリフ”
そう言って笑った彼は、甘い口づけを私に落とした。
数ヶ月後。
二人の結婚報道が表紙を飾り、トップニュースをかっさらったことは、言うまでもない。
溺愛スキャンダル
*完*


