一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
こっそり、隣を盗み見る。
『だったら、本気で俺を好きになればいい。あんたを惚れさせてあげる。』
かつての彼のセリフが頭をよぎった。
そうか。この男は私を落とそうとしてるんだ。
どこまで本気かは分からないけど、彼にとっては単なるゲーム感覚なのかもしれない。
私が、恋人のフリなんて無理、なんて言ったから、面白半分に本気にさせようとしてるだけなのだろう。
あの時。スキャンダルに巻き込まれたのが私じゃなかったら、この人は他の女の人に同じようなことをしてたのかな。
ふと、そんなことを考えて、無意識に息が詰まった。
(どうして、私がモヤモヤしないといけないの。振り回されちゃダメだ。)
「…どーした?」
「えっ?」
信号で止まった彼が、ちらり、と私を見た。突然、話しかけられ、どきりとする。
「いや。般若みたいな顔でこっちを睨んでるから。」
「般若?!!」
感情が、モロに顔に出てしまっていたらしい。
“これ以上、私の感情をかき乱さないで。私は、優しくされたらコロッと落ちちゃう単純な女なんだから!”、なんて言えたら楽なのに。
「樹さんって、読めない人だなぁって思って。」
「ふふ、何それ。俺は分かりやすいと思うけど。」