一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
無表情で爆弾発言をする桐生さんも桐生さんだが、信頼という言葉で難題を軽く流す彼も彼だ。
ジェット?ジェットって、ジェット機?
飛ばせるって?まさか、桐生さんが?
秘書兼付き人である桐生さんは久我家に雇われた人間なだけあって、特殊な免許を数多く取得しているらしいが、普通、そんな選択肢を思いつくものだろうか?
「どう?きつい?」
静かに問う樹さんに、桐生さんはばさり、と、スーツを翻した。
「三時間で済ませて、定時で上がらせていただきます。」
「はは。さすが。」
“こいつら、何者…?”
誰もがそう思っているに違いない。その場にいた全員が、息を呑んで総支配人と秘書を見つめた。
「速水。」
樹さんが、ジャケットを羽織りながら低く彼の名を呼ぶ。びくり、として、体をこわばらせる速水くん。
再び、緊張感が高まった。
みんなが、一斉に彼らの方へこっそり視線を向ける。
すると、すっ、と速水くんを見つめた樹さんは、静かに言葉を続けた。
「問題ない。…でも、次はない。」
「!…はい…!」
頭を下げる速水くん。
まだ解決したわけではないが、かすかに肩の力が抜けたような空気が事務所に漂った。
(すごいな。やっぱり、あの人は上に立つのに相応しい。)
そんな中。
小さく息を吐く瀬戸は何かを考え込むように、樹さんを見つめていた。