一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
コンコン。
ドアのノック音に、思わず飛び起きた。緊張しながら扉へ走ると、ガチャ、と開いた先にいたのは、出先からそのままここへ来た様子の彼だった。
「樹さん…?!」
「ただいま。」
ふいに、とくん、と胸が鳴る。
なんだ。彼が来てくれたことが、無性に嬉しい。
ただいま、なんて言われて心がときめく。
ちょっと悔しい。
……いや、だいぶ悔しい。
「き、今日は来れないんだと思ってました。」
「何言ってるの。会いに来るに決まってるでしょ。約束したんだから。…ごめんね、遅くなって。」
彼は、寝間着姿の私を見てわずかに目を細める。
「もう寝るとこだった…?」
「あ…いえ、大丈夫です!どうぞ。」
中に招き入れると、ジャケットを脱いだ彼が、ギシ、とソファに腰を下ろした。
既視感がある光景に、つい口元が緩む。
ネクタイに指をかけて緩める姿が、妙に色っぽい。
「あの、今まで出張だったんですよね?お疲れなんじゃないですか。今日じゃなくてもいいですよ…?」
「だめ。今日は美香と過ごすって決めてたから。映画も、貸し出し期限明日までだし。」
彼のバックから出てきたのは、私がよく利用するビデオレンタルショップの袋だった。スタイリッシュなブランドで身を固めた彼からは想像できない庶民的な代物に、つい問いを投げかける。
「まさか、わざわざ寄って借りてきてくれたんですか?」
「うん。映画とか詳しくないから、桐生のオススメを借りてきた。」