一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~

長いまつ毛。まぶたは開きそうにない。

ぎゅん、と緊張から体がこわばった。

起こしてはいけない…という謎の使命感と、寄りかかられてどうしよう…という戸惑いがせめぎ合う。

そうだ。疲れているに決まってる。

この人は、いつ休んでいるんだ?ってくらい多忙なんだから。今日だって、出張明けで、さらに取り引き先に謝罪に出向いた。

緊張が解けて、どっ、と眠気が押し寄せたのかもしれない。


『今日は美香と過ごすって決めてたから。』


ーー怒れない。

映画が始まって十分で爆睡されて、めちゃくちゃ振り回されてるって思うのに。

無理して約束を守ろうとしてくれた彼を、嫌いになれない。

無防備な寝顔は相変わらず見惚れるほど整っているが、どこか幼い。

総支配人としての昼間の彼とは、別人だ。


(安心したように、すやすや寝ちゃって。)


あーもう。

なんで可愛いなんて、思ってしまうんだろう。私にしか見せない彼の顔に、どうしてこんなに心が騒ぐんだろう。


「……私、ここから動けないじゃん…」


そんな私のため息は、夢の中の彼には届かなかった。

< 66 / 186 >

この作品をシェア

pagetop