一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
長いまつ毛。まぶたは開きそうにない。
ぎゅん、と緊張から体がこわばった。
起こしてはいけない…という謎の使命感と、寄りかかられてどうしよう…という戸惑いがせめぎ合う。
そうだ。疲れているに決まってる。
この人は、いつ休んでいるんだ?ってくらい多忙なんだから。今日だって、出張明けで、さらに取り引き先に謝罪に出向いた。
緊張が解けて、どっ、と眠気が押し寄せたのかもしれない。
『今日は美香と過ごすって決めてたから。』
ーー怒れない。
映画が始まって十分で爆睡されて、めちゃくちゃ振り回されてるって思うのに。
無理して約束を守ろうとしてくれた彼を、嫌いになれない。
無防備な寝顔は相変わらず見惚れるほど整っているが、どこか幼い。
総支配人としての昼間の彼とは、別人だ。
(安心したように、すやすや寝ちゃって。)
あーもう。
なんで可愛いなんて、思ってしまうんだろう。私にしか見せない彼の顔に、どうしてこんなに心が騒ぐんだろう。
「……私、ここから動けないじゃん…」
そんな私のため息は、夢の中の彼には届かなかった。