一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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六月。
雨が降る日が多くなり、だんだんと梅雨の訪れを感じる気候になってきた。
総支配人の秘書である彼が、スイートルームに訪ねてきたのは、そんなとある休日のことだった。
「おはようございます。久我マネージャーはいらっしゃいますか?」
「桐生さん…?!」
扉の向こうに立っていたのがメガネの彼で驚いた。トントン、というノックを聞き、私はてっきり樹さんだと思って出迎えたのだが。
すると、彼はそんな私の態度に、探し人が部屋の中にいないことを察したようだ。
「久我マネージャーは、不在のようですね。」
「あ、はい。樹さんは最近部屋に来ないですよ。…なんだか、仕事が忙しいとかで…」
「ほぉ。以前、この部屋から朝帰りしたようでしたので今日も在室ではないかと思いましたが、違いましたか。」
「っ!わ、私たちは、別にそういう関係では…!」
スイートルームで一緒に寝てる、という彼のぶっ飛んだ認識を慌てて訂正する。まさか、映画を見た翌日のことを見られていたのだろうか。
別に、あの日も何かあったわけじゃないが。
話し声が廊下に漏れないよう桐生さんを部屋に通した私は、おずおずと彼に尋ねた。
「樹さんは、まだ出勤してないんですか?」
「えぇ。あの人に休みなどないというのに。」