一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
「あ、あの…?」
恐る恐る声をかけると、桐生さんは「あぁ、すみません。」と眉を寄せ、スマホをスーツのポケットにしまい込んだ。
「久我マネージャーは、風邪をひいたらしいので欠勤させることにしました。」
「え…!」
「お騒がせして申し訳ない。…はぁ。彼は一歩仕事を離れると、急に無能になるんです。食事もとらないのに寝ているだけで治るわけないでしょうに、あのポンコツは。」
それって、悪口なのでは…?というレベルのお小言を口にする桐生さん。まるでオカンだ。さすが、長年久我家に仕えていただけある。
すると、彼は、素早く身を翻し、すっ、と腕時計へ視線を落とした。そして、何かを考え込むように目を細める。
と、その時。彼の瞳がぱちり、と私を映した。わずかに目を見開いた桐生さんは、さらり、と想像していなかった一言を発する。
「そうだ、桜庭さん。私の代わりに、久我マネージャーの家まで看病に行ってもらえませんか。」
「はい?!」
彼の話では、樹さんは生活に必要なものを何も揃えずに暮らしているため、体調不良の時はいつも桐生さんが食材などを差し入れているようだが、あいにく、今日は都合がつかないらしい。
「貴方なら、私が行くよりも喜ぶでしょう。お世話をしてやってください。」
「お世話って…」