一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
桐生さんは、すっ、と胸ポケットからメモ帳を取り出し、サラサラと綺麗な文字で買い出しリストを書き始めた。
「彼は貴方の作ったものならなんでも食べるでしょうが、強いて言うならたまご粥がいいかもしれませんね。梅干しを買うなら蜂蜜入りにしてやって下さい。ネギも入れるといいかもしれません。」
「…。」
もう、私に断らせる気は無いようだ。食の好みまでアドバイスされちゃあ、後戻りはできない。…まぁ、断ったところで特にやることもないが。
そして桐生さんは、メモを受け取った私にすっ、と現金を差し出す。
「お小遣いです。この金額に収まるように買ってください。」
「え!いいんですか?」
「はい。領収書は後で久我マネージャーに請求しますので。」
本当に、この秘書は抜かりない。
すると、現金の他にカードキーがあることに気がついた。
「それは、久我マネージャーの自宅の鍵です。オートロックのマンションなので、集合玄関の自動ドアはそちらで開けてください。」
合鍵を持っているのか。さすが、いつも買い出しに駆り出されているだけある。
(……ただの偽恋人関係の私が、自宅なんかに行っていいのかな…?)
緊張し始めた私をよそに、「では、よろしくお願いしますね。」と言い残した彼は、颯爽とスイートルームを去っていったのだった。