一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~

桐生さんは、すっ、と胸ポケットからメモ帳を取り出し、サラサラと綺麗な文字で買い出しリストを書き始めた。


「彼は貴方の作ったものならなんでも食べるでしょうが、強いて言うならたまご粥がいいかもしれませんね。梅干しを買うなら蜂蜜入りにしてやって下さい。ネギも入れるといいかもしれません。」


「…。」


もう、私に断らせる気は無いようだ。食の好みまでアドバイスされちゃあ、後戻りはできない。…まぁ、断ったところで特にやることもないが。

そして桐生さんは、メモを受け取った私にすっ、と現金を差し出す。


「お小遣いです。この金額に収まるように買ってください。」


「え!いいんですか?」


「はい。領収書は後で久我マネージャーに請求しますので。」


本当に、この秘書は抜かりない。

すると、現金の他にカードキーがあることに気がついた。


「それは、久我マネージャーの自宅の鍵です。オートロックのマンションなので、集合玄関の自動ドアはそちらで開けてください。」


合鍵を持っているのか。さすが、いつも買い出しに駆り出されているだけある。


(……ただの偽恋人関係の私が、自宅なんかに行っていいのかな…?)


緊張し始めた私をよそに、「では、よろしくお願いしますね。」と言い残した彼は、颯爽とスイートルームを去っていったのだった。



< 71 / 186 >

この作品をシェア

pagetop