一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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「…ついに来てしまった…。」
目の前にそびえ立つのは綺麗な高層マンション。近寄るのも恐れ多い大理石の床に、つい身構える。
桐生さんに手配されたタクシーに乗ること約三十分。
とうとう、私は久我 樹の自宅まで辿り着いてしまったのだ。
スーッ。
カードキーを差し込むと、音もなく開く自動ドア。豪華なエントランスを通り、エレベーターのボタンを押した。
“812”
その部屋番号の隣には、久我の表札が付いている。
間違いない。ここだ。
買い物袋まで下げて来たはいいものの、今さら緊張してきた。
カギは持っているが、流石にベルを鳴らすべきだろう。
ピンポーン
(お、押しちゃったよ……!)
…と、その時だった。
ガチャ…!
玄関の鍵が開く音がした。
そして、開かれた扉の向こうから顔を出したのは、ゆるいスウェット姿の彼。
「早かったな、恭介………」
「!!」
私を見た途端、固まる彼の体。
お互い、何も言えずに数秒見つめ合う。
(恭介…?)
「あ、あの、大丈夫ですか?樹さん……」
おずおずと私がそう問いかけた次の瞬間。目を見開いた彼の頰が、かぁっ!と染まった。
(え?)