ワケあり同士による華麗なる政略結婚
ゆっくりと頷くと、それを合図に主治医はあいつの過去を話し出した。
「、、、あの子の主治医になってもう何十年にもなります。身体が弱かったあの子は学校にも通えず、毎日外をボンヤリ眺めているような子でした。手術の成功により持病は治りましたが、異性との接触がなく成長していきました。でもそれくらいで発症した訳ではありません。、、あの子とても綺麗でしょう、、?昔から綺麗な顔立ちをしていましたが、成長するにつれ、更に美しさに磨きがかかって、でも、、それが仇になったんです、、、。」
よっぽど言いにくい事なのか、主治医は暫く黙り込んで覚悟を決めたように続きを話し始めた。
「、、大学生になって直ぐの事でした。その日は講義が長引いた上に教授からの頼まれごとなどをしていて遅い帰りだったんです。少しでも早く帰ろうとしたみたいで普段通らない小道を通ったらしいんです。そこで少し酔った若い男性、複数に絡まれたんです。、、そのまま路地裏に引き込まれて力ずくでっ、、、っ。たまたま通り掛かった人が警察に通報して間一髪の所だったそうですが、保護された時は見るも無残な姿だったそうです。衣服は破られ、全身痣だらけで、、一体どんな目にあったのか容易に想像できますっ、、、!、、っあんな経験をしたら誰だって、、美麗のように男性が恐怖の対象でしか見れなくなるのも当然だと思います、、!!!」
そんな目に合っていたなんて知らなかった。
心の弱い人間なら自ら命を絶ってしまうかもしれないほどの恐怖と絶望。